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しかしついに一度たりとも野生キタキツネを見る機会がなかった。
それが、最近では開拓地や川原はもちろん、自動車を運転しながらでも見かけるのだ。
A氏は、キツネの密度が昭和40年代のうちにピークに達し、以後は多少上下しながらもほぼ同密度で横ばいになっていると見ている。
ここ数年は全道で毎年一万頭前後がとられているが、これくらいは自然増で補充されうるという。
もしネズミ算式に子ギツネがふえれば、1年で繁殖可能だから大変な増殖になるのだが、事故その他・さまざまな要因でかなり死亡率は高い。
北米のハイイロギツネだと最初の冬までに90パーセントもが死亡するという報告がある〔注8〕。
一万頭くらいの狩猟なら、「事故その他さまざまな要因」の一部に吸収されるていどの数らしい。
そのようにしてふえたキツネが、農家に各種の被害を加えはじめた。
大きなものの例だと、出産中の牛がキツネに襲われて、仔牛はもちろん、ときには親牛も殺されることがある(白老町・室蘭市ほか)。
養豚場でも仔プタが同様にしてやられる(網走市・森町ほか〉。
ニワトリ小屋が襲われる例は金道で数しれず〔注9〕、たとえば豊浦町のT氏〔注m〕などは、ニワトリ小屋を守るべくキツネとさんざん知恵くらべをしたが、ついに敗北してニワトリを飼うのをあきらめたという。
(D名誉教授・I氏ハ動物生態学)の弟子の一人として道庁で長く猟政にたずさわり、現在北海道猟友会の会長をつとめるS氏は「以前だったら北海道の農家も本州なみの司普通の飼い方」ができたものですよ。
つまり放し飼いってことですが」と回想する。
今では金をかけてコンクリートと金網で完全防備した牢獄のような鶏舎でなければ必ず襲われるというのだ。
ほかに農作物の被害もかなりあり、トウモロコシ・イチゴ・メロン・スイカ・長イモ・アスパラガス・各種野菜などが目立つ。
キツネに食われて減った可能性があること。
これは表面に現れやすいものとしてとくに2つの猟烏コウライキジとエンライチョウの激減が挙げられている。
その猟の激減ぶりは、北海道庁自然保護課によれば第2表のとおりである。
このためコウライキジに関しては去年から全面禁猟の措置がとられた。
エンライチョウがコウライキジほどの大激減を見なかったのは、キツネの生息環境よりも標高の点でもっと高くまで分布するからだろうとS氏は推測している。
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